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遺留分が侵害されているか知るためには

自分の遺留分が侵害されているかどうか知るためには、まず遺留分の算定の基礎となる財産を確定し、その財産の価額を評価し、それに自分の遺留分割合を掛けて、遺留分として自分に保障されている具体的な価額を出すことが必要です。
遺留分が侵害されているというのはこの保障されている部分が満足されていない状態のことを言います。

遺留分の算定の基礎となる財産
①相続開始時に被相続人が持っていた財産の価額+②贈与した財産-③債務です。(民法1029条)
わかりにくいのは②贈与した財産を加算しているところでしょう。
これは民法で定められています。
加算される贈与は、
相続開始前の1年前以内に贈与されたもの
当事者双方が遺留分権利者を害することを知ってなした贈与
です(民法1030条)。
さらに
不相当な対価をもってなした有償行為も贈与とみなされます(民法1039条)。例えば、時価が1000万円するものを100万円で売ったときには不相当な対価をもってなした有償行為になります。これは実質的には贈与と変わりませんので。

遺留分が侵害されているかの具体例
被相続人、配偶者、長男、次男がいる場合を想定します。
被相続人に8000万円の預金がありました、3000万円の土地がありました、600万円の土地がありました、5000万円の株式がありました、そして1000万円の債務がありました、ただしこの債務は不担保です、と想定します。
被相続人は亡くなる六か月前に知人Aに3000万円分の株式を贈与しました、遺言書で8000万円の預金を長男に遺贈しました、亡くなる2年前に知人Bに2000万円相当の土地の贈与をしたが知人Bは遺留分権利者を害することを知らなかった、と想定します。
この場合に各人の遺留分侵害はどのようになるでしょうか。

遺留分算定の基礎となる財産は
8000万円+3000万円+600万円+5000万円-1000万円=1億5600万円 です。知人Bへの2000万円贈与は加算されません。
遺留分の総体は
1億5600万円×1/2=7800万円
個別的遺留分は
配偶者 7800万円×1/2=3900万円
次男  7800万円×1/2×1/2=1950万円

遺留分侵害額は
遺留分額-純相続分額です。
これを当てはめると
配偶者 遺留分額は3900万円  純相続分は3800万円(※1)なので遺留分侵害額は100万円です。
次男  遺留分額は1950万円 純相続分は1900万円(※2)なので遺留分侵害額は50万円です。

※1 純資産額の算出
  3000+ 600 +5000=8600万円
8600×1/2(法定相続分)=4300万円
  4300-1000(債務)×1/2(法定相続分)=3800万円

※2 純資産額の算出
  3000+ 600 +5000=8600万円
8600×1/4(法定相続分)=2150万円
  2150-1000(債務)×1/4(法定相続分)=1900万円











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